HBR(ハーバードビジネスレビュー)誌に、オンデマンド経済の記事が掲載されておりました。
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下記は、年齢別の労働参加率の推移ですが、16-19歳、20-24歳、25-29歳等の若いころに雇用のトレーニングを受けることができず、若年層の多くが労働市場からドロップアウトした事を示しています。そして、興味深い事に60歳以上の労働参加率は上昇しています。
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正社員にとらわれず、新たな働き方が求められる時代 ハーバードBR http://bit.ly/1NBbKl4
この記事と平行して、マッキンゼー社のアメリカ産業のデジタル化のレポートや、アメリカにおける労働参加率の低下のデータがありましたんで、点と点を繋げて(Connecting Dots)、アメリカの労働状況をまとめてみようと思います。
I. オンデマンド経済とは?
まず、オンデマンド経済(ギグ・エコノミーとも呼ばれます)を、簡潔にまとめると、変化が早く先行きが不透明なので、企業側にとってはフレキシブルな人材配置が必要という感じですかね。Harket Hackの広瀬さんも、良い記事をかかれてますので参照ください。
オンデマンド・エコノミーって、つまり終身雇用制度の賞味期間が切れたってコトだヨ - Market Hack http://bit.ly/1AAMrfI
オンデマンド経済台頭の背景は、HRB記事いわく、以下の通りです:
社会的価値観の変化
”ワークライフバランス、そして家庭を犠牲にしないスケジュール管理は、今日のビジネスパーソンにとっていっそう重要性を増しており、企業側の姿勢も次第に協力的になっている。”
テクノロジー
過去5年におけるテクノロジーの進歩により、遠隔地からの労働や協働が格段に容易となったうえに、企業と請負人はお互いをすぐに見つけられるようになった。これを可能にしているのは以下のようなものだ。
・ブロードバンド接続の普及
・ドロップボックスやエバーノートのような、コラボレーションツール
・スカイプやグーグル・ハングアウトのようなコミュニケーションサービスの、絶え間ない発展
・経験豊富な有能人材の需要と供給を、迅速かつ正確にマッチングする、ソフトウェア主導型の人材マーケットプレイス。アワリーナード(HourlyNerd:コンサルティング)、アップカウンセル(UpCounsel:法務)、ビハンス(Behance:クリエイティブ)などが例
広瀬さんも、上記の記事で、「サーチ・コストやインフォメーション・コスト」がUberのようなテクノロジー台頭で需給マッチングコストが圧倒的に下がったからと、結論付けています。
また、世代的ににも、現在の米国の20-35歳位の若年層、いわゆるミレニアム層が、オンデマンド型の雇用を好んでいるのも追い風になっています。
下記はVC最大手KPCBの2015年のインターネットトレンドからの引用ですが、ミレニアム層が、フレキシブルな勤務時間を好むこと、フリーランス比率が38%と高い点、テクノロジーがライフスタイルに組み込まれている点等がみてとれるかと思います。
下記のチャートでは、ミレニアム層の44%がオンデマンド労働層という、その他の年上世代よりも、圧倒的な、オンデマンドへの親和性を示しています。
オンデマンドトレンドはミレニアム層に限ったことではなく、その上の世代にも確実に拡がっており、下記のギグエコノミーの調査では、広義のオンデマンド労働者数は、2002年の2600万人から、2014年には2970万人に増加しており、総雇用数の20.3%を占めており、同時期の雇用の伸びの28.8%に貢献したと発表しています。
Independent Contractors and the Emerging Gig Economy | Research | American Action Forum http://bit.ly/1YvYQNq
DaVinci InstituteのThomas Frey氏は、フリーランス系やテンプ雇用は、2020年までに総雇用の45%を占めると予測しています。
Predictions from a futurist: How technology will shape the job market in 2016 | Built In Colorado http://bit.ly/1Tgnw5S
II. デジタル化・IT化
前章で、オンデマンド経済化にエンドユーザー向けのテクノロジーの普及が、大きな役割を果たしていると既述しました。企業側も産業によってはデジタル化を急速に進めており、「デジタル労働指数」上位のICT、メディア、エネルギー産業などでは賃金上昇が年4%以上の高い伸びを示しています。
McKインスティテュートの「アメリカの産業別のデジタル・デバイド」レポートはこちらからダウンロード出来ます http://bit.ly/1Tg5v7Ihttps://pic.twitter.com/u0bqyKsNeo
しかしながら、デジタル化の問題点としては、自動化を通じ雇用の削減を一気に進める点。2015年以前は10年毎に6-9%の雇用を削減して来たが、今後の10年で10-15%の雇用が淘汰と、マッキンゼーは予測しています。
皮肉なのは、ICT(Information Communication Technology)に投資すればするほど、作業の自動化や効率化が進み、生産性が高まり、雇用削減が進むとう、現代版ラッドダイト運動化しつつある点ですね。まさに、機械との競争の世界です。
英オックスフォード大学では「今後20年間に47%の米国の職はコンピュータやロボットに代替される」と分析しています。 http://bit.ly/1fjwzyN
III. 労働参加率の低下
このようにオンデマンド経済の進展は確実に進んでいますが、問題点は、オンデマンド経済は稼ぎの二極化を確実に進めているという点でしょうね。安定雇用の中産階級向けの職は確実に減っており、高度のスキルを持ったフリーランス人材はそこそこ稼げるけど、スキルの低い労働者のは、パートタイム雇用や低給与の職に頼らざる負えなくなっています。
アメリカの労働参加率もリーマン・ショック当たりまでは66%を超えていましたが、その後の不況で参加率は下がり続け、景気が回復して数年たった2015年にも下落傾向が続いており、62%台まで下がっています。これは、求職を辞めた国民が増加したからですね。
米国政府も、オンデマンドやギグエコノミーの拡がりが、中間層のより一層の没落を加速するのではと恐れている節もあり、民主党の大統領候補のヒラリー・クリントン市なども、オンデマンドエコノミーに懐疑的な発言をしています。
ヒラリー・クリントン曰く、オンデマンド経済(ギグエコノミー)は職場保護に難題をもたらす TCJ http://tcrn.ch/1CB35xh ;
オンデマンド経済の旗手であるUberも、ドライバーは、「契約」か「社員」かという規制との戦いを、米国の各州政府と繰り広げています。
グーグルの創業者のセルゲイ・ブリンやラリー・ペイジ等は、将来にはかなり楽観的ですね(強者の理論で、かなり無責任だと思いますけど)。
グーグル創業者が語る働き方の未来 「もう必死に働かなくて良いんじゃない?」http://bit.ly/1oVyUGm
僕の個人的な考えとしては、デジタル化やオンデマンド化で経済を強化し、下位25%層にベーシックインカム的なものを提供できる位、税収を増やせるか?というところでしょうか?置いてけぼりになる層は確実に増えるので、その層のサポートが鍵になるかと思います。
最後に、上記の傾向の日本経済へ影響を考えてみましょう。これから、ますます不確実性はまして、変化のスピードの早くなるので、日本の解雇規制や、終身雇用体制は、オンデマンドのトレンドに相当反していると思います。雇用は短期的には確保されるかもしれませんが、変化へ対応が遅れることによる売上減などで、会社自体ダメになってしまう可能性が高いのでは?同じ企業で新卒で入社して15年以上働くと、その会社の外での価値が確実に下がりますし、企業にとっても、成長エリアへの人材配置も進まないという、、、、
アメリカ的な、ドラスティックに雇用と解雇を繰り返して行くことを、手放しでは賞賛できません。しかし僕のアメリカ在住からの経験で一つ言えるのは、アメリカ人の変化への対応力は凄いものがあります。僕もアメリカに来て、雇用保障の無い世界で働いて良かったのが、常に自己研鑚を重ね、食っていけるような心構えが出来た点ですかね。
日本でも、35歳以下の方は、オンデマンド経済化が進む中、個人商店として食えるスキルをいつも磨いておくのが大事だとおもいます。
最後に、不動産で無理やりまとめると、一寸先は闇かも知れないので、アメリカ不動産投資で、定期的なインカム(賃貸)と、エクイティ(含み益)を築きましょうね。
では、Happy Investing!!!