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Channel: アメリカ/米国不動産投資日記
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米エリート大学の入学難易度とシグナリング効果の上昇

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先日、元参議院議員で、「君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」等の著書がある田村耕太郎さんが、下記の発言をツイッターでされてました。

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アメリカの一流企業の高学歴・エリート校卒従業員指向の高まりって、僕もこの10年かなり感じてきた事なんですよね。実際、質疑応答サイトのQuoraで、下記の「MBAとか良い大学の修士持ってないと、シリコン・バレーで出世は難しいか?」という質問に、長尺回答しています。僕のシリコン・バレー企業での経験上、エリート大学や大学院のベースにした足切りが、確実に進んでいると思っています。

Gen Shibayama's answer to Silicon Valley: Is there a glass ceiling for VP/C-level employees without graduate degrees or MBAs in Silicon Valley? - Quora http://b.qr.ae/Y2xm1m

せっかくなので、今回は、米エリート大学の典型である、アイビーリーグ校、その中でも、ハーバードの4年制学士の難関化(=シグナリング効果向上)について検証してみましょう。

まず、アメリカでの年間の学士号取得者数推移ですが、1960年頃は年40万人→1970年70万人→1980年90万人→1990年100万人→2000年120万人→2010年160万人と、継続的に増加しているのが明らかですね。特に2000年からの10年は、120万人→160万人と破竹の増加です(よって、新卒の失業率上昇や、高卒レベルの職に就く、「大学は出たけれど」状態に、アメリカでもなってます)。

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4年制大学への進学率を見ても、1980年29.9%→2010年41.4%と10ポイント以上増加しています。
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上記の大卒急増の背景にあるのが、アメリカの大学適齢人口の増加です。下記は2000年→2010年の年齢別人口推移ですが、大学適齢人口は、15歳~19歳は9,0%、20歳~24歳は13.8%も増加しています。
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まとめますと、また、政府系のNational Center for Education Statisticsのレポート以下の通り学生数の増加を分析しています:
  • 大学適齢期の18歳~24歳人口は2000年→2010年で2730万人→3070万人と12%増加;
  • その上、18歳~24歳人口の大学在籍比率は35%→41%まで増加:
  • よって、総学生数(大学院生含む)は2000年→2010年に1530万人→2100万人学生数は37%も増加しました。
  • その内訳は、フルタイムの学生が45%増、パートタイムが26%増となっています。
この通り、大学適齢人口の増加+大学進学率増加で、アメリカで大量の大卒を生むことになったのが、お分かりになると思います。しかしながら、このような状況下で、アメリカのエリート大学への入学難易度度は確実に上がっているようです。

下記は、2012年3月のCNN記事ですが、アイビー校の合格率は史上最低との報告です。大学別だとハーバード5.9%<イエール6.8%<コロンビア7.4%<プリンストン7.9%<ダートマス9.4%<ブラウン9.6%<ペン12.3%<コーネル16.2%となっています。 


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The Ivy Coachの2003年入学(Class of 2007)から2012年入学(Class of 2016)のアイビー校の統計をチェックしても、合格率は確実に下落(=難易度アップ)していますね。米フルタイム学生数が過去10年で45%上昇したにもかかわらず、アイビー校の定員は、2003年13,350人→2012年13,894人と4.1%しか増えませんでした。合格率に関しては、定員が増えずに、大学入学希望者が増えたので、2003年15.9%→2012年9.4%と、6.5ポイントも難易度が上昇しています。この辺が、米エリート校のシグナリング効果の上昇を象徴する数字かもしれません。
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そして、Harvard Magazineの2011年の記事では、ハーバード4年制大学への海外留学生比率は、1986年6%→2011年10%増加しているので、米国内から入学難易度はより高くなっていると言えるでしょう。 

日本の場合は、18歳年齢が、1992年の205万人をピークに、2012年120万人位まで激減しました。東京大学では定員数が年3000人位でこの何十年も変わっていないので、ゆとり教育の影響等もあり、入学難易度は下がったと言えるので、米のトップ校と対照的ですね。定員を18歳人口で割った東大生遭遇率は0.25%になりますが、ハーバード大生遭遇率は、米18歳人口を440万人、米国人ハーバード入学者数1485人で計算すると0.03375%になるので、ハーバード入学難易度が理解しやすいかとおもいます。

早稲田大学は、大学院生まで含めると学生数は、1990年47,212→ 2007年54,228人に増加していたりします。慶応義塾も学部が増えたぶん、学生数も増えているはずなので、以前と比べ、シグナリング効果が下落していると言えるでしょうね。

アイビー校やスタンフォード等の米エリート大学のシグナリング効果と収入の上昇は、ランド研究所・コーネル大の調査でも明らかになっています。
  • 米エリート私大卒の給与はインフレ率より2~3ポイント高く上昇する。
  • そして、エリート大学院への入学率機会も上昇、
  • また、年を追う毎に、上記の確率が高くなっている。
実際、Payscale社の米大学の投資対効果ランキングは、1HMC、2CIT、3MIT、4スタンフォード、5プリンストン、6ハーバード、7ダートマス、8デューク、9ペン、10ノートルダムで、HMCやCITという小規模の理系大学を除き、残りの大学はすべて年間授業料5万ドル以上のエリート大学が占めています。
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これって、「頭がよくない」と稼げないのが現代社会の象徴なお話ですね。米で格差が広がる背景には以下があります。IT化でCognitive Ability(認知能力)が高い層向け高収入職の増加;ビジネスの複雑化・グローバル化;大企業サイズが60年代より8倍と巨大化;高学歴同格婚による子息の階層化。この結果、エリート校を卒業した、少数のグローバルエリート達(1%?)に、良い職や給与が集中しているからでしょうね。

この傾向は、90年代前半に「マイクロソフトの競合で一番恐れているのは何処会社?」という質問に対するビル・ゲイツが「ソフトウエアはIQビジネスなので私達はIQ戦争に勝たなければならない。よって私達の最大の競合は、IBMやHPではなく、最優秀人材を惹きつけるGSやMS等の投資銀行である。」と答えた頃から始まったんでないかと思います。

これは、2006年のエコノミスト誌の記事ですが、Goldman Sachs、GE、Googleといった、いまをときめく企業が「最優秀人材獲得」の激しい競争を描いています。11年のForbes誌記事では、Googleはエリート大学・大学院の上位層しか採用しないと指摘しています。

そして、米アイビー校でも、卒業生の半数近くが金融、コンサル、会計等の高給与な専門職を選ぶという、相思相愛関係が出来上がり、最初に田村さんが指摘したような、「若手リーダーの製造過程の均質化」が起こっているでしょう。以前、ブログで指摘した通り、「頭がよくないと、人並み以上の暮らしができない」世の中になっているのは確かですね。

せめてしっかりアメリカ不動産に投資して、リスクヘッジしましょうね!では、Happy Investing!!!

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